星矢 「……う、」「うう…」
(目覚める。)
(透明な球体の壁のようなものに守られている星矢。周り
は崩壊して滅茶苦茶になっている。)
星矢 「こ…これは?」
「うわっ!?」
(球状のものごとフッと消える。)
(城戸邸。)
(正門の前に立つ長髪の後ろ姿。)
ギ… (門を開ける手。)
氷河 「紫龍!」 (門を開ける紫龍の後ろからやって来る。)
紫龍 「その声は氷河か!」
(ちょっと後からやって来る市、那智、檄、蛮。)
市 「あたしらも帰って来たざ〜んす♪」
那智 「久しぶりだな」
(庭を邸の方へ歩いていく氷河、紫龍、春麗、市、那智、
檄、蛮。)
(車から下りたところの沙織と辰巳。)
沙織 「まあ、あなたたち!」
氷河 「沙織さん」
紫龍 「お久しぶりです」
(皆で談笑しながら歩いてくる。)
(グランド・ピアノのあった部屋がぐちゃぐちゃになっている。)
(割れたガラス戸の前にやって来た沙織たち。)
沙織 「…………まあ」
「い、一体…何があったのかしら…」
辰巳 「大方二人で喧嘩でも
やらかしたんでしょう」
沙織 「そうかしら…」
シィッ! (口元に指を当てて、静かに、という仕草をする
星矢。潅木の陰に座り込んでいる。)
沙織 「星矢…?」
氷河 「…?」
(みんな黙って星矢の視線の先に注目する。)
(木の下に、抱き合ったまま立っている瞬と邪武の姿が。
元の場所に戻ってきていることにまだ気付いていない様子。)
(瞬は顔を上げて目を閉じている。)
(二人の横顔がゆっくりと近付いていき、)
(そっと唇が触れ合う。すごく初々しい感じで。)
(それはすぐにパッと離してまた見つめ合い、)
(そうかと思えば今度はいきなり濃厚キス。)
(突然の光景にボーゼンとなる面々。)
(邪武と瞬、一向にやめる気配無し。夢中。)
パキッ (誰かの革靴の足が落ちていたガラスの破片を踏
む。)
(ハッとして音がした方を向く沙織たち。)
星矢 「げっ!!」
(ギャラリーの存在に気付く瞬と邪武。)
(いつの間にか、星矢たちに混ざって一輝も立っている。)
瞬 「…に、にいっ…さ……」
邪武 「ななな、何なんだっお前らはッ!?」
(一輝の背後から、ユラ〜ッと立ち込めるオーラ。両目を閉
じて眉間にタテジワ。)
一輝 「早く着きすぎてしまって丁度よかったな」
ボキッ (一輝の手のアップ。指の関節を鳴らす。)
一輝 「説明するのに時間がかかるだろうからな」
瞬 「あ…あのね、にいさん」
「話せば長くなるんだけどぉ…」
星矢 「よせよせ、一輝」「なんたってアイツは…」
ドカッ (邪武が拳圧で星矢を殴り飛ばす。)
星矢 「でっ!?」
(もう片方の手は瞬の口を塞いでいる。意味深なカオで。)
邪武 「まあな。」
(一輝1コマ。意外にも強気な反応が返ってきたので一寸
面食らう。)
(瞬、まだ口を塞がれていもがいている。)
(邪武、片目を閉じて、明るいいたずらっぽい表情を瞬に
向ける。木洩れ日を受けてキラキラ輝いている。)
(瞬、口を塞いでいた邪武の手をそっと振りほどく。が、も
う何も言おうとしない。一応困ってはいるものの、口元が
笑ってしまう。)
(インサート。白いユニコーン。)
ユニコーン ―――一緒に行こう
(邪武の手が瞬の手を握って、)
瞬 「わっ!?」
(いきなりぐいっと引っ張る。)
一輝 「ああっ!」「コ、コラ!!」
(けれど後は追わない一輝。後ろで眺めるだけの星矢た
ち。)
瞬 ―――生きていく
(青い空に眩しい光。)
瞬 ―――この世界は天国ではないけれど
(ラスト。見開きで。後ろに立っている人々を尻目に、笑顔
で駆けていってしまう二人。邪武が瞬の手を引いて、真っ
直ぐ画面手前に向かって走ってくる。)
瞬 ―――今日からは、君と二人で―――
END.
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