ムウ 「それにしても…」
    「身体中の力が時間とともにより大量に
     失われていく ような気がするが…」

ペルセポネ 「あらあら、どうやら戦いの勝敗は
         完全に決まったようね…」

アフロディーテ 「…!?」

ペルセポネ 「結界の力がさらに強まっていく…」
        「復活に備えて冥王の小宇宙が
         じわじわと高まっているんだわ」

アフロディーテ 「そ、そんな…だって…」
          「だって、まだ……」

ペルセポネ 「エリシオンに入り込んだ
         ブロンズの坊やたちなら、
         さっきタナトスがみんな片付けて
         しまったわよ」
        「黄金聖衣も粉砕してね」

        「勝手にすればいいのよ」
        「私は雪と氷に閉ざされた晦冥の世界になど
         何の興味も無いわ…」

(アフロディーテ1コマ。)

ペルセポネ 「ま、私たちはゆっくりと
         ゲームを楽しみましょう」


(海岸。)

(岩場を走ってくる、ミロとデスマスク。)

ミロ (息を切らしながら。)
   「海だ…」
   「なあ、一体…ここはどこなのだろうな?」

デスマスク 「オレが知るか!」
ミロ 「………」

ザッ (突然立ち止まったデスマスク。)
ミロ 「…!?」

ミロ (止まる。)
   「どうした?」

(デスマスク、黙って足元に目を落とす。)

カラカラカラ… (地面が微かに揺れて、小さな石が動いて
いる。)

ガラ… (二人のすぐ横にそびえる岸壁の上から、巨大な
岩石の群れが転がり落ちてくる。)

(それに気付いて上を見上げるミロとデスマスク。)

(立っている二人の位置から岸壁をあおった全景。大岩が
頭上に落ちてきているのに、ミロは全く避ける気配が無い。)

デスマスク 「馬鹿!!」「よけろミロ!!」
(ミロを突き飛ばす。)

ガッ (岩の一つがデスマスクの片足の上に落ちる。)

デスマスク 「うわああああ!!」

ガラガラガラ… (岩石の群れはそのまま転がっていき、)

(波打ち際か浅瀬でとまる。)

デスマスク 「うう…」
(地面に座り込んで足をかばう。)

デスマスク 「…畜生」
        「ほ…骨が…砕けちまった…」

ミロ 「デ…デスマスク……?」

デスマスク 「いいかッ、今のオレたちは」
        「小石を割ることもままならねえと
         言っただろう!!」

        「小宇宙を燃やせない…」
        「ハーデス城よりももっとひどい―――」
(俯いて黙ってしまう。)

(砂浜に落ちた岩の群れの一つが、)

(次第に形を変えていく。)

ミロ (すまなさそうな表情。)
   「……あんたは、いつもそうなんだな」

デスマスク 「なに…?」

ミロ 「ずっと考えもしなかったんだ」
    「今頃になってようやく気がついたんだ」
    「あんたたちのお蔭で、
    幼かったオレたちは誰も…
    誰も、死なずに済んだ…」

デスマスク 「…ハッ、」
        「そりゃお前、考えすぎだ」

ミロ 「………」

(何かに気付いて急に険しい表情になるミロ。)

(岩の一つが、明らかに人間らしい形になっている。)

ミロ 「な…なに!?」「い、岩が…」

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