(くすんだ空の下に広がる乾いた荒野。)
(遠くから。そこにぽつんと一人で膝を抱えて座っている
瞬。ギリシア神話を思わせる服装。)
(近寄って瞬。暗い表情で呆っとしている。)
カッカッ (固い大地を蹴って走ってくる、山羊のような蹄
のある足。)
(瞬、ちょっと顔を上げる。)
(遠くから走って来る純白のユニコーン。)
(ユニコーン、正面向きのアップ。)
(瞬1コマ。)
(オーバーラップする真正面向きの瞬のアップとユニコーン
の全身。)
(ユニコーン、瞬の目の前まで来て止まる。)
ユニコーン ―――さあ、立ちな
一緒に行こう
瞬 「…行くって、どこへ?」
(ユニコーンの眼のアップ。瞬が映り込んでいる。)
(瞬1コマ。)
(促されるままに立ちあがって、)
(ユニコーンの背に乗る。)
カッ (勢いよく駆け出すユニコーン。)
(風を切って走る。)
(荒野を抜けて、)
(砂漠の砂嵐の中を通る。)
(風の中で目を開けられずに、ユニコーンの首にしがみつ
いている瞬。)
(真っ暗な闇の中。)
(宇宙空間を走っている。)
(闇が雲のように晴れていき、)
(澄んだ青空の下に現われ出る。)
(エリシオンによく似た果てしなく広がる花園に立っているユニコーン。)
(ユニコーンの背から降りて周りを見渡す瞬。)
瞬 「うわぁ…」
(真っ青な空。活き活きと咲いている花。降り注ぐ金色の
光。)
(瞬、一人でどんどん歩いていく。)
サーッ (タンポポの綿毛が大量に風に舞って、)
瞬 「わ…」 (顔にかかる。)
(楽しげに後足だけで立ち上がっているユニコーンが、)
(数コマで姿を変えていく。)
(瞬、まとわりついていた綿毛を全部振り払う。)
(瞬の目線で、花霞の向こうに人影。)
(瞬1コマ。)
(花園全景。ユニコーンは消え、同じ場所に誰か立ってい
る。)
瞬 「君は…」
(振り返って微笑する、黒い髪の青年。邪武。)
次章へ
メニューへ戻る