(子供と遊んでいる邪武。)

(邪武のアップ。普段は見せないような輝くような満面の
笑顔。)

(いつのまにか黙っている瞬。)

(美穂1コマ。)
美穂 ―――瞬くん…?

(美穂の目線で、瞬の横顔。潤んだ眼差しが邪武の姿を
追いかけているが、本人は全くそれを自覚してはいない
様子。)

美穂 「瞬…くん」

(全く反応しない瞬。何も耳に入らなくなっている。)

美穂 「瞬くん!」

(瞬、何も聞こえない。)

しゅんくん!! (美穂が大声で呼ぶ。描き文字が瞬の耳
を右から左へ突き抜ける。)

瞬 「うわぁっ!?」
   「な、なに!?」「何かなっ!?」

美穂 「………」

瞬 「あ…、あの」「ええと…」

美穂 「この間の件なんだけど」
瞬 「エッ?」

(1コマ、たまたまチラッと瞬の方を見る邪武。)

美穂 「悪いけど、やっぱり私、行けないわ」
    「確かに、この学園の為に色々して下さっている
     事には感謝しているのよ。でも…」
    「私と沙織お嬢様が仲良くなる
     理由なんて無いし…」

    「そんなつもりも無いの」

(瞬1コマ。)

美穂 「ごめんね」
    「間に挟まれちゃって、瞬くんが可哀相よね…」
瞬 「ううん…」

(外からの目線で、黙り込んでいる美穂と瞬。)

(邪武1コマ。)

ビュッ (邪武、突然強くボールを蹴る。)

瞬 「うわっ!?」
パシッ (片手で易々と受け止める。)

邪武 (ちょっとわざとらしく苦笑して。)
    「悪ィ悪ィー」

瞬 「危ないなァ、もう」
ヒュッ (投げて返す。)

(邪武、胸でボールを受けて落とす。)

(地面に落ちて転がっていくボールを追って駆けていく子
供たち。)

(邪武だけその場に残って、しばらく瞬の方を見ている。)

(夕暮れの空。子供たちに見送られて星の子学園を後に
する二人。)

(帰り道。途中、公園の中を通っている。)

(俯いて歩いている瞬。)

邪武 「なんだよ、さっきから浮かないカオして」

瞬 「…沙織さんと仲良くする理由なんて無いし、
   そのつもりも無いの」

邪武 「ああ、うちのクリスマス・パーティーに
      おいで下さいってヤツか」
    「お嬢様が…彼女に一言謝りたいと
      おっしゃってるんだな」

瞬 「これを、もうちょっと円満なもの言いに
    改められないものかな、って…」

邪武 「バカかお前?」
    「あのコがそう言ったのなら、そのまま
     伝えれりゃいいじゃねえかお嬢様に」
    「そもそも、そんな事は
     諸悪の根源である星矢の奴がだな…」

(瞬、顔を上げると、)

(いきなりボロボロと零れる涙。)

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