邪武 「うわっ!?」
「な…っ、何も泣くほどの事なのか!?」
「大体お前が悩んだところで…」
瞬 「ご、ごめん」
「平気。いつもこうなんだ」
「ちょっと難しい事考えてると
涙出てきちゃうんだ僕…」
邪武 「………」
(瞬、涙を拭う。)
邪武 「…なあ、瞬」 (歩きながら。)
「いくら戦いが終わってオレたちの周りが
一応平和になったからって」
「辛いことやら、煩わしいことやら、
そんなのが何もかも無くなってくれる
ワケじゃねえだろ」
「だって…、お前は生きてんだから」
(瞬1コマ。ハッとする。)
邪武 「誰かを傷付けたり傷付けられたり…」
「それは多分…、永久に変わらねえし、
終わらねえよ。程度と次元が違うだけの話」
瞬 「誰かを傷付けたり傷付けられたり…」
「仕方無いこと…なのかな…?」
「永久に傷付けあうの…?」
―――ここは、天国ではないから
邪武 (明るい表情でさらりと。)
「でもよ、そんな風に生きてる事が
罪になろうがなんだろうが、」
「オレは、お前に生きてて欲しいと
思うぜ?」
(瞬、すごく真剣な顔になって立ち止まる。)
瞬 「そ…そうかな…」
邪武 「そーだよ。」
瞬 「そ…そうだよね」
邪武 「だから、もう泣くな」
「まったく、男のクセに」
(邪武はそのまま一人で歩いていく。瞬は立ち止まったま
まで、どんどん距離が開いていく。)
瞬 「そうだよね…」
―――いい加減、覚えなきゃね
例え誰かを傷付けても
自分自身を守るって術
(瞬の視線で、歩いている邪武の後姿。)
(瞬1コマ。今度は自分で意識して、邪武の姿を目で追っ
ている。)
瞬 ―――不思議…
あの頃は、誰かの為に死ぬことさえ
厭わなかったのに
瞬 「待ってよ!」
(駆け出す。)
瞬 「待ってってばー!」
―――なのに今は僕自身のことが
こんなにも大事に思えるなんて…
次章へ
メニューへ戻る