(瞬の部屋。)

(バスルーム付近。)

バシャッ (洗面台で顔を洗っている瞬。)

(瞬、目元の水をこぶしで拭う。)

(鏡に映った自分の顔を見る。)
瞬 ―――ひどい顔…
       何て…いうんだっけ、
       こういうの…

(不意に瞬の脳裏に浮かんできた映像。幼い日の、沙織
の”馬”になっている邪武。)

(手足が擦り傷だらけになりながらも、沙織を背中に乗せ
て進む小さい邪武。)
瞬 ―――知ってた
       わかっていたさ
       知らないフリをしていただけ

(銀河戦争の時の邪武。ボロボロに傷付きながらも、沙織
の方を見ながら立ちあがる。)
瞬 ―――ずっと前からわかっていたこと
       彼の心に誰が住んでいるのかくらい

   「だからきけなかった…」

(前の章の中の1コマ。)
瞬 「君はどうして…」
   ―――どうしてここに残ったの?

瞬 「きけなかった…」

(拭っても拭っても涙が溢れて止まらない。)
瞬 ―――どうしよう…

   ―――彼はみんなとは血が繋がって
       いないって知ってる
       誰に何て思われようと
       そんなことは構わない
   ―――だけど

   「こんなのは、僕じゃない」
   ―――彼の想いが叶わないことを祈っている
       人の不幸を願っているなんて

   ―――それとも…
       それとも、これも僕なのか…?

(部屋の真ん中に呆っと立っている瞬。)
瞬 ―――どうしよう…

(本棚の隅に置いてある、空になったガラスの小瓶。)

(瞬1コマ。)

(小瓶を手に取る瞬。)
瞬 ―――ごめん…

(床にひざまずき、ビンを胸元あたりに持って蓋を外す。)
瞬 ―――ごめんね…

(ビンを両手で持ち、その中に向けて小声で呟く。)
瞬 「好き…」

ガッ (間髪入れずにギュッと蓋を閉じる。)

(瞬、そのままビンを胸に押し当てるように抱く。)

(部屋の中全景。小瓶を抱えて首を項垂れる瞬。)
瞬 ―――ごめんね…

(台詞のみのコマ。)
瞬 ―――ごめんね、瞬

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