ムウ 「甦ってはいても、以前と同じではないようです」
    「第七感が全く覚醒していない状態なのです」
    「当然、小宇宙を感じ取ることも、
     燃焼させて力を生み出すことも不可能…」

アイオリア 「そんな…」「だが、何故……」
        「そもそも、オレたちは何故―――」

デスマスク (腕組みして、柱の陰からスッと現れる。)
        「ま、受け入れるしかねえだろ」

        「どんなに馬鹿げた悪夢でも、
         見てる者にとってはそれが紛れも無い
         現実なんだからよ」

(アイオリア1コマ。)


(花園を歩いている童虎。)

童虎 「なんという静寂と清浄…」
    「ここはまるで―――」


(野原を歩くカミュ。)

カサカサ (草の中に何かいる。)

(カミュ1コマ。)

(ウサギが一匹ひょこっと顔を出す。)

(カミュを見ても逃げていかないウサギ。)

(鹿もいる。傍を通っても全く警戒してない。)

(歩きながら周りの景色を見渡すカミュ。)

カミュ 「何なんだ…」
     「ここはまるで―――」


(空の高いところを、白い孔雀のような鳥の群れが舞って
いる。)

(岩山のような場所に立ってそれを眺めているシュラ。)

シュラ ―――ここはまるで―――


(美しい湖のほとり。水面に白鳥が遊んでいる。)

(水辺を歩くシャカ。)

(風がシャカの髪をなびかせる。)

(シャカ1コマ。)

(淡いピンク花をつけた野薔薇。)

(シャカの開いた両目のアップ。)

(ここから、シャカの記憶。双魚宮外観。十数年前。)

カツン カツン (石畳を歩いていくシャカの聖衣の足。)

(バラをいじっているアフロディーテに向かって、目を閉じ
たまま無愛想に。)
シャカ 「通りますよ」

アフロディーテ 「どうぞ」
          「クス…でもわざわざ全部通らなくても
           十二宮には抜け道があるんだよ?」

(シャカは何も言わずアフロディーテの横を通り過ぎていく。)

(アフロディーテ1コマ。)

アフロディーテ 「待って!」

(シャカ、立ち止まる。)

アフロディーテ (ピンクのバラの花を一輪差し出す。)
          「これ、あげる。」

シャカ 「え?」

アフロディーテ 「綺麗でしょう」
シャカ 「そ…そうですね」 (目を閉じたまま受け取る。)

アフロディーテ 「目…閉じていてわかるの?」
          「どうしていつも目を閉じているの?」
          「君は見えない訳ではないのに」

シャカ 「それは…」

アフロディーテ 「そんなにしてまで小宇宙を高める
           必要がどこにあるの?」
          「こんなに平和な聖域で…」

          「なぜ、目を背けようとするの?」
          「君は何を見てきたの?」

(シャカ1コマ。)

シャカ 「目を背けている…?」「私が…?」
     「一体何から…?」

     「そ、それでは貴方にお尋ねしますが」
     「真理とは目には見えぬもの」
     「目に見えるこの世の事柄に、
      そんなに価値があるのでしょうか」

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