アフロディーテ 「一番粗雑な部分のことを考えないで、
           より精妙な世界のことがわかるの?」
          「すぐ傍にあるものさえ見ないで、
           世界を守れるの?」

シャカ 「アフロディーテ…」

(バラの花の絵に台詞のみ。)
アフロディーテ 「その花はやがて色あせ枯れるでしょう
          生あるものは皆いつか必ず死ぬし、
          気の遠くなるような歳月の果てには
          宇宙でさえも眠りにつく…
          その意味では、全ては夢、虚しい幻」
          「だけど見て、この花盛りのバラの色」

          「これは、全く無駄な事なのかしら…?」
(ゆっくりとシャカの両目が開く。)

アフロディーテ ―――広大な時間と空間の中にあっては
              やはりこれは全く無意味な事
              なのかしら―――
(バラの花越しに見える、やわらかな微笑みを湛えたアフ
ロディーテ。)

(目を開けたシャカのアップ。素直な表情。片目から涙が
流れ、つうっと頬を伝っていく。)

アフロディーテ 「シ、シャカ…」
          「泣かないで…」

(回想終わり。湖のほとりに立つシャカ。)
アフロディーテ ―――泣かないで…

(また歩き出すシャカ。)


(草原を歩いていくミロ。)

(ミロの耳に子供の声が聞こえてくる。)
ワー アハハハハ ハハハ…

(ミロ、顔を上げて遠くの方を見る。)

(目の前に広がっている広大な草原。)

(草原で遊んでいる子供たち。ミロ、カミュ、アイオリア、ム
ウ…幼い日の自分たちの姿。)

(ミロ1コマ。)

(子供たち。無心で駆け回っている。)
アハハハハハ

(ミロ、目をごしごしこすって、)

(もう一度顔を上げると子供たちの姿は無くなっている。
草原を風が渡っていく。)

(また歩き出したミロ。)

ミロ (呆っとした顔で、歌の歌詞を小声で口ずさむ。)
   「1、2、3、4、5、6、7、
    良い子はみんな天国へ行く―――」

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