アイオリア 「な…何だ今のは!?」
デスマスク 「アフロディーテ…!」
ムウ 「泣いて…いる……?」
アイオリア (建造物の外に出て。)
「こっちの方角からだ」
(遠くの岩山の頂きに宮殿が見える。)
デスマスク 「あ、あんなもの今まで見えなかったぞ…」
アイオリア 「あそこだ…」
「間違い無い、あそこに居る!!」
(宮殿の絵にオーバーラップして、ムウ。)
ムウ ―――泣いている―――
(十字架のアフロディーテ。)
アフロディーテ 「…う」「うう……」
(目を覚ます。)
(暗闇に響く声。)
? ―――フフフフフ…
皮肉なものね、アフロディーテ
自分を褒め称えるべき薔薇の花に
責め苛まれるご気分はどう?
アフロディーテ (ゆっくりと顔を上げる。)
「う…お、お前は…?」
(暗がりから現れ出てくる人影。)
? ―――フッ、私の顔を見忘れて?
それなら教えてあげる
私は…
(アフロディーテ1コマ。)
ペルセポネ ―――私は冥王ハーデスの妻であり
冥界の女王
―――ペルセポネ
(声の主の全身が現れる。漆黒の細身のドレス姿。豊か
な茶色の長い髪の美少女。方手に、蛇の巻きついた杖を
持っている。)
アフロディーテ 「ペ…ペルセポネ…?」
「冥界の女王だって……?」
ペルセポネ 「思い出していただけたかしら」
アフロディーテ 「…わ、わからない」
「それが…何故私を…こんな―――」
ペルセポネ 「フッ、まあ別に構わないわ」
「いいこと、これはゲームよ」
「アフロディーテ」
アフロディーテ 「ゲーム…?」
ペルセポネ 「そう、これをご覧なさい」
(杖の先から光が放たれる。)
(アフロディーテの目線で、光の球の中に映像が見える。
眩し過ぎてまだぼんやりとしかわからない。2〜3人の男た
ちが走っている人影。ムウやアイオリアらしい。)
アフロディーテ 「…こ、これは……」
ペルセポネ 「先程、ほんの一瞬だけ
エリシオンからくるハーデスの小宇宙を
遮断し、あなたの小宇宙を届けたの」
「それによって、あの者たちは
あなたの存在を嗅ぎ付けて
この宮殿を目指してやって来る筈…」
「そこで私は地獄の辺境で拾った
六匹の怪物を差し向ける」
「オーガ、キマイラ、リーパー、ヒポグリフ、
サラマンダー、ゾルン!」
(いつの間にか、6人の甲冑姿の美形の青年たちが片膝
を付いて控えている。)
ペルセポネ 「さあ、あの黄金聖闘士たちと
遊んでいらっしゃい」
「くれぐれも、すぐに殺してしまってはダメよ
それでは趣きが無いものね」
オーガ ―――かしこまりました
ペルセポネ様
(青年たち、全員フッとその場から消え去る。)
(アフロディーテの方に向き直るペルセポネ。)
アフロディーテ 「わ…私の…仲間を―――」
「あの醜悪な生き物たちと
戦わせようというのか…!?」
ペルセポネ 「言ったでしょう、これはゲーム」
「11人の黄金聖闘士に対して
怪物はたったの六匹よ」
「あら、でも今はもう黄金聖闘士などではなく
ただの人だったわね」
「ここは冥王ハーデスの腕の中
あの男の小宇宙による結界の中」
「彼らは小宇宙を燃やして戦うことはおろか
小石を一つ砕くことすら
ままならない状態でしょうね…」
アフロディーテ 「そ、そんな…」
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