サガ 「どうかしている…」
「これだけ…走ってもまだ…
辿り着けない…なんて」
アイオロス 「とにかくここを抜けよう
きっとすぐそこだ」
パチンッ (指を鳴らすペルセポネ。)
(突然何かがアイオロスの肩をかすめて血が飛び散る。)
アイオロス ―――!?
アフロディーテ 「ああ…」
アイオロス 「くっ」
(一歩退き下がって、サガと共に身構える。)
(木陰から現れる人影。)
? ―――ご安心めされよ
なぁに、一撃では殺しません
サガ 「お、お前は…!?」
(木の陰から現れた、褐色の肌の美青年。)
リーパー 「フフフ、何に…見えますかな?」
アイオロス 「答えろ!」
「あの宮殿の主は一体何の目的で」
アフロディーテを…」
「そして私たちを…」
リーパー 「私は冥界の女王ペルセポネ様の命により
あなた方をおもてなしに参りました」
アイオロス 「ペ…ペルセポネ…だと?」
サガ 「うっ」
(サガの背後の地面から、無数の木の根っこが一斉に湧
き出して、)
(サガの全身に絡みつく。)
アイオロス 「サガ!?」
(振り返るアイオロスにも木の根っこが絡みついてくる。)
アイオロス 「こ、これは…木の根…?」
「フッ、こんなもので何が出来ると思っ…」
(黙ってほくそ笑むリーパー。)
グググググ (木の根をつかんで引きちぎろうとしている手。)
サガ 「う…うう…」
ブツッ (サガの首に巻き付いていた一本だけ切れる。)
サガ 「ハァ」「ハァ」「ハァ…」
(息を切らしてひざまずいてしまう。)
アイオロス 「なっ、何故だ…!?」
「たかが…こんな……」
(木の根を振りほどこうとしてもがいているが、全く手も足
もでない状態。)
バシッ (一本の太い根がアイオロスの顔を打つ。)
ドシャッ (吹っ飛んでそのまま地面に倒れこむアイオロス。)
ギリ… (アイオロスの五体を締め付ける木の根。)
アイオロス 「うう…」
リーパー 「フッ」 (鼻で笑う。)
サガ 「ア…アイオロス…」
(身体中縛られて空中に持ち上げられている。)
(かなり遠くから一本の根がサガに向かってヒュルヒュル
と伸びていく。)
アフロディーテ 「サガ…!!」
「後ろ!!」
(サガ、ハッとして振り返る。)
(木の根がサガの後方から右肩を刺し貫く。)
(呆然としてしまうサガ。)
(肩を貫いた根っこがそのまま伸び続けて、サガの身体が
見えなくなる程巻き付いていく。)
アフロディーテ 「な…なぜだ!?」
「彼らほどの聖闘士が何故あんな…」
(またバラから逃れようと身体をよじりながら。)
ペルセポネ 「言ったでしょう」
「今はもう黄金聖闘士などではなく
ただの人なのだと」
(倒れ伏して全身木の根に絡まれて絞め殺されるしかな
い状態のアイオロスとサガ。)
アフロディーテ 「サガ…!」
「アイオロス…!」
(乾いた平地を走っていくムウとアルデバラン。)
アルデバラン 「他の連中はどうした、ムウ?」
ムウ 「わかりません」
「アイオリアたちとも何故か途中で
はぐれてしまって…」
アルデバラン 「そうか…」
「だがきっと11人みんながあの宮殿を
目指して進んでいる筈だ」
―――聞こえた筈だ
オレたちの名前を呼ぶ声が…
(インサート。皆の名前を呼ぶ幼いアフロディーテ。)
次頁へ