ペルセポネ 「まあ、かわいそう」
「感動的よねアフロディーテ」
「あなたに会いに来るために
あんなに傷付き苦しんで…」
(アフロディーテ。呆然としたまま。)
ペルセポネ 「フ…フフフ」
「ハハハハハ」
「アハハハハハ」
アフロディーテ ―――なぜ…
(先の鋭く尖った木の根がアイオロスの脇腹を刺し貫いて
いる。)
アフロディーテ ―――お前たちは、なぜ…
(波打ち際に倒れ伏している満身創痍のミロとデスマスク。)
(草原に倒れて動かないアイオリアと童虎。)
(殆ど地中に埋まってしまっているムウとアルデバラン。)
(岩の陰から姿を現すカミュ。顔の半分と身体の至るとこ
ろが痛々しく焼け爛れている。)
アフロディーテ ―――私なんか探そうとするんだ…
(画面奥に、オーガとそれに抗っているシュラ。手前に、片
腕を縦に大きく切り裂かれ、地面に横倒れになって身悶
えするシャカ。傷口からドクドクと血が流れている。)
シャカ 「く…」「あ…」
「ア…」
―――泣かないで…
(気絶してしまったシャカ。)
アフロディーテ 「あ…」「あ…ああ…」
(意志にかかわり無く言葉だけが漏れている感じ。)
アフロディーテ 「…や………めろ……」
(ヤケになって叫ぶ。)
アフロディーテ 「もうやめてくれ!!」
「私を殺せ!!」
(1コマ、ムウの目がハッと開く。)
アフロディーテ 「…イヤだ」「もうイヤだ…」
「誰かが傷付き血が流れて……」
「こんなことはもうたくさんだ!!」
ムウ ―――き、聞こえる…
声が…きこえる
ミロ ―――オ、オレたちに…来るなっていうのか?
デスマスク ―――おい、そりゃあんまりだぜ
アフロディーテ
アフロディーテ 「だ、だって私がお前たちのために
一体何をしてやった!?」
「何もしてない…それどころか、私は…」
アルデバラン ―――残念ながら、頑固なのは
牡牛座の性分でな
シュラ ―――悪いがオレたちは何が何でもそこへ行く
お前を助け出してやる
サガ ―――これ位のことで弱音を吐いたり出来ないさ
壁の向こうへ飛び立っていった…
アイオロス ―――青銅の彼らのことを思えば…
童虎 ―――今はもう何を守れる訳でもないが…
カミュ ―――そんな力も無いけれど…
だけど…
アイオリア ―――自分自身に負けるのはシャクだからな
(アフロディーテ1コマ。)
シャカ ―――今はただ、あなたのために…
すぐそばにいる人たちのために
私は生きよう
―――たとえこの世界の全てが
夢まぼろしに過ぎないのだとしても、
そんな事を考えるよりも先に
するべきことが私にはあったんだ
―――その幻のために、人間はどこまでも
強くなれるのだから…
優しくなれるのだから…
―――覚えていますか
これが、あなたが一輪の花とともに
私にくれた問いへの答えです
アフロディーテ 「シャカ…」
(目を閉じて首を項垂れる。)
アフロディーテ ―――帰りたい…
―――みんなのところに―――
(アフロディーテの血を吸って赤く染まった白バラの花が一
輪、こぼれるように枝から落ちる。)
(落ちながら花弁が一枚一枚散っていき、)
(キラキラと輝きながら床に落ちる前に消え去る。)
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