ペルセポネ 「フフッ、バカね」
「養分を与えてどうする気?」
童虎 「養分だと…?」
「そうか、そういうことか……」
―――いくら傷付けても無駄…
この存在自体が呪われている様な生き物を
救わねばならぬということか
―――だが、そんなことが…
アルデバラン 「くっ…」 (拳を握り締める。)
チャッ (アイオロスが弓に矢を番える。)
アイオロス 「…こんなマネはしたくないが仕方が無い」
ペルセポネ 「やってみなさいよ」
アイオロス 「うっ!?」 (手が勝手に矢を放つ。)
(ペルセポネに向かって矢が飛んでいく。)
ピタ… (矢が空中で停止して、)
(クルクルと回転して、)
(アイオロスに向かって飛んでくる。)
パシッ (戻ってきた矢を易々と掴み取るアイオロス。)
ペルセポネ 「ほらね。」
「それに私を殺したってアフロディーテは
戻らないわ」
「教えてあげる、そのバラを枯らす術が
たった一つだけあるわ」
―――それは冥界が滅ぶこと
―――ハーデスが敗れ、
地獄が消えて無くなること
ミロ 「冥界が…」
アルデバラン 「滅びぬ…限り―――」
ペルセポネ 「だけど、もし仮にそうなったとしても」
「その時は、あなたたちも灰と化して
再び消え去る運命…」
「結局、何をしたところで無駄なのよ」
ブチッ (血だらけの手がバラの枝を引きちぎる。)
(ペルセポネ1コマ。)
(シャカは手を止めていない。)
ペルセポネ 「…一体何度言えばわかるのかしらね」
(バラの枝がシャカの髪を絡めて、物凄い力で後ろに引っ
張る。マスクが跳ね飛ぶ。)
シャカ 「うぅ…」 (立ったまま持ち堪える。)
(シュラの手刀。)
ドシャッ (髪を絡めたまま床に落ちたバラの枝。)
(乙女座のマスクも床に落ちる。)
(シャカ。髪が肩すれすれ位の長さになってしまったが、そ
んなことは全く意に介していない表情。)
(ペルセポネ。そんな様子をじっと眺めている。)
ムウ 「そ、そうだ…バラを……」
アイオリア 「アフロディーテを…ここから下ろして
やらなければ…」
(スターダストレボリューション。)
(ライトニングプラズマ。)
(どちらも効かない。バラは傷付けられると同時に、より生
気に満ちて再生する。)
ペルセポネ 「愚かなこと…」
「きっと想像もつかないのね
あなたたちの心の痛みや悲しみ、
怒り、憎しみ、そんなものが糧に
なっているということが」
「世の中にはそんな存在があるということが」
「他の痛みが自らの悦び…」
「これこそ純粋なる悪というものかしら」
―――私と、同じ…
(必死でバラの樹と格闘している黄金聖闘士たち。あちこ
ちで、色とりどりの光が空しく弾ける。)
(ペルセポネ。)
(バラに絡まれて完全に身動きが取れなくなっているアル
デバラン。)
(それを助けに行こうとしたミロの顔をバラが鞭打つ。)
(迫ってきたバラの枝をさっと避ける童虎。)
(すると枝はそのまま石畳の床にもぐって、)
(デスマスクの足元から、折れている方の足を貫いて出て
くる。)
(デスマスク1コマ。歯を食いしばる。)
(脇腹を刺し貫かれているシュラ。)
(首を締められたまま宙に持ち上げられているカミュ。)
ペルセポネ ―――だけど、なぜ…
この者たちは、こうまでして…
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