ゴゴゴゴゴ… (広間全景。地面が激しく揺れている。)

ミロ 「な、何だ…」
アイオリア 「これは一体…」

(揺れは次第に激しくなる。)

(天井から石の破片がバラバラと落ちてくる。)

ペルセポネ ―――ま、まさか…

(地面の至るところで隆起と陥没とが始まり、)

(石の十字架が倒れて地面に呑み込まれていく。)

(バラの樹が灰と化して静かに消えていく。)

シュラ 「バラが…」

ムウ 「そ、それでは、冥界が……」

サガ 「アテナが…」

アイオリア 「星矢―――」

ペルセポネ 「まさか…」「そんな…」

(崩壊するハーデス神殿。)

(滅茶苦茶になっていくエリシオンの花園。)

ペルセポネ 「そんな…」

(崩れ出した宮殿。アフロディーテは黙ってペルセポネを
見つめている。)

ペルセポネ 「な、なによ…」
        「これで私に勝ったなんて思わないことね」

(少女の表情で、目に涙を溜めてわっと顔を上げる。)
ペルセポネ 「どうせあなたたちも消えるのよ!」
        「みんな死ぬの!!」
        「死に、闇に打ち克つことなど、
         誰にもできはしないのよ!!」

シュッ (その場から姿を消したペルセポネ。)


(エリシオンの花園を走って来るペルセポネ。)

(ペルセポネの目線で、崩壊するハーデス神殿。)

ペルセポネ 「ハァ」「ハァ」「ハァ」

ゴ… (辺りの地面が大きく隆起して、)

ペルセポネ 「!?」

(次の瞬間、逆に陥没する。地中に呑み込まれていってし
まうペルセポネ。)
ペルセポネ 「キャアアアアア」

(土塊や石の柱と共に闇の中に落ちていくペルセポネ。)

(真っ暗な闇の中をゆっくりと下に落ちていくペルセポネ。
静かに両目を閉じている。)

(閉じた眼からこぼれる涙。)
ペルセポネ ―――嘘よ…愛なんてうそ…
        ―――だってそうでなければどうして…

        ―――どうして私だけ…
(暗闇に消えていったペルセポネ。)

(崩壊を続ける部屋の中に立っている黄金聖闘士たち。)

アフロディーテ 「ペルセポネ…
           大地の豊穣の女神デメテルの娘」
          「遠い昔、私が彼女を闇に
           落としてしまった…」
          ―――君はただ、あの光あふれる世界を
          ―――愛していただけなんだよね―――

(崩れていく宮殿。)

(立ち尽くしたままのアフロディーテと11人。)

シャカ 「アフロディーテ…」

アフロディーテ 「…みんな、ありがとう」
          「私は…」

サガ 「何も気兼ねする必要など無いさ
     アフロディーテ、我々は…」

アフロディーテ 「ここにいるのはみんな
           君の仲間なのだから。」

(サガ。)

(アイオロス。)

(シャカ。)

(シュラ。)

(デスマスク。)

(アイオリア。)

(ムウ。)

(アルデバラン。)

(ミロ。)

(カミュ。)

(童虎。)

アフロディーテ (明かるい笑顔で。)
          「―――行こうか」

(アフロディーテ、髪の毛の先から金色の砂のようになっ
てキラキラと輝きながら消えていく。)

ミロ (肩の辺りから同様に消滅しながら。)
   ―――いつか、また会えるといいな 

アイオリア ―――会えるさ、きっと

ムウ ―――いつか…

(画面手前に柱や天井が崩れ落ちてきて、黄金聖闘士た
ちの姿は見えなくなる。)
全員 ―――きっと―――

(崩壊する冥界。崩れ去っていくペルセポネの宮殿。)

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